●▲■ きた産業 メルマガ・ニューズ vol.145 ●▲■
発行日:2010年 10月1日(金)
■アルコール飲料産業のためのクロスオーバー情報■

発行:きた産業株式会社 http://www.kitasangyo.com

 

 

------------------< 目 次 >------------------

 

●▲■ サケ&ショーチュー事情 in ベトナム ●▲■

ベトナム清酒「越の一」(×こしのいち、○えつのはじめ)
ベトナム焼酎「麦大陸」「いも一」「南蛮鬼ころし」「帝王」

  付記:ビール、清酒、焼酎のマーケット情報

              (text = ゲリー・メリウォル)

 

ご紹介アイテム●1▲「K2ガラスびんカタログ」更新
ご紹介アイテム●2▲「パッケージ・デザイン・アーカイブ」から

 

 

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(久しぶりにシアトル在住のG.メリウォルの寄稿です。)

 

この夏、仕事でベトナムに滞在したのですが、
「日本食レストラン・ハシゴ」をしていました。

 

ベトナムの2大都市、北のハノイ(首都)と南のホーチミンには、
それぞれ20軒程の日本食レストランがあります。
見るところいずれも盛業で、軒数はさらに増殖中。
(この2大都市以外はまだ日本食レストランは少ない。)

今回はベトナム最大の都市、ホーチミン(旧、サイゴン)の
サケとショーチュー事情をご紹介します。

 

 

以下のレポートは、
この写真資料を参照しながら読んでもらうとわかりやすいです。

「サケ&ショーチュー事情 in ベトナム」(2ページ)
http://www.kitasangyo.com/Archive/Data/Sake_Vietnam_2010.pdf

 

 

 

●▲■その1 某居酒屋にて、サケ事情●▲■

 

お酒メニューを眺めて、まずは
「白鹿」と「越の一」をオーダーしました。
(2種飲み比べが、私の飲み始め流儀なので。)

この店はUSドル表示で、
「白鹿」12$、「越の一」8$(どちらも300ml壜)。

 

「越の一」は「こしのいち」(新潟の酒?)と思いきや、
ベトナム清酒(!)で「えつのはじめ」と読みます。
メニューには「地酒」とありますが、
その通り、まさに地酒ですね。

ベトナムは漢字で書くと「越南」、
その「初め」の清酒、という意味でしょう。

 

「白鹿」は、、、日本で飲むのと同じ味わい。
うまいサケである。製造日付も新しい。

「越の一」の味は、、、というと、
いわゆる日本製清酒とは明らかに異なる、
「焼酎っぽい」(?)味(ベトナム人好み?)。

カリフォルニア清酒の酸味などが日本製清酒と違う
(アメリカ人向けにしている)のと同じでしょう。

 

ベトナム清酒「越の一」は、
多くの日本食レストランのメニューに載っているほか、
ベトナム市内にいくつかある日本食材店でも、
日本製の清酒以上に大々的に売られています。

 

日本食材店で、720ml壜の清酒の価格(円換算)
を観察すると概ねこんな具合。

  「越の一」:800円くらい
「白鶴」「月桂冠」:1,500〜2,000円くらい
「玉乃光」「八海山」「田酒」など:3,000〜5,000円くらい

 

「越の一」を製造するのはフエ・フーズ社。

表ラベルは日本語なので日本製品と区別がつかないけれど、
裏ラベルには

  「原材料、米・麹、精米60%、
ISO9001取得、HACCP取得(!)、ベトナム製」

などとベトナム語で書かれています。

(ベトナムは元来、日本や朝鮮と同じ「漢字文化圏」。
姓名も地名も漢字表記があったのだけれど、
フランス植民地時代以降、文字はアルファベット表記です。
ただし、独自のややこしいアクセント記号付き。)

 

 

●▲■その2 別の和食店にて、ショーチュー事情●▲■

 

平均所得の極めて低いベトナムとはいえ、
日本レストランの客の過半はベトナム人。
(当然、お客として来るのは高所得層ではありますが)

ベトナムにはもともとアルコール度数の高い蒸留酒があるせいか、
清酒より焼酎を好むベトナム人が多いように見えます。

 

この和食店の焼酎メニューを、
チェックしてみましょう。

 

メニューの上半分、グラス一杯8.5万ドン(約400円)の

  「天孫降臨」
「黒霧島」
「閻魔」

はもちろん日本製。

(注:さっきの店と違ってこの店はvnd=ベトナム・ドン表示。
ベトナムでは自国通貨と米ドル札の両方が通じる国。
昔の東欧圏にはよくあったが、いまや珍しい。)

 

一方、メニュー下半分に書いてある銘柄、

  「大陸」
「南蛮鬼ころし」

はベトナム製焼酎でグラス一杯5.7万ドン(約300円)。
ホーチミン近郊でワインフーズ社(またはタナカ社)が製造。

メニューには銘柄だけ書かれていて、
日本製かベトナム製かは書かれていないので、
少なくともツーリストには区別がつかない。
(地元愛飲家には常識なのかもしれませんが)

 

それにしても、

  日本製一杯400円
ベトナム製一杯300円

とは、思いのほか差が少ない。

なお、
「南蛮鬼ころし」は焼酎乙で、
「大陸」は甲乙混和ですが、価格は同じです。

日本では、
甲乙混和焼酎が、価格で本格焼酎を侵食しているそうですが、
ここベトナムように同価格で販売すれば、
嗜好のみの選択となるから、ノープロブレムですね。

 

 

●▲■その3「スシ・バー」でサケ&ショーチュー&ワイン●▲■

 

ホーチミンで一番人気の日本レストランが、
今や4店舗を展開する「ザ・スシ・バー」。

茶碗蒸しまでついた定食が10万ドン(=約500円)くらいなので、
ベトナム人(所得の高いベトナム人)にも人気。
(バイク二人乗りで食べにやってくる!)

この店の清酒は、
「月桂冠」「酔心」「久保田」「大関」などすべて日本製。

一方焼酎メニューには「大陸」もあるけれど、
ちゃんとVN(ベトナム産)の表示あり。

それにホーチミンは韓国人ビジネスマンがとても多いので
韓国焼酎「真露」もある。
(たいていの和食店で真露を置いている。)

店内を見渡すと、
ビールが一番人気は当然としても、
(ブランドはシンガポールのタイガー、それにキリン、アサヒ、エビス)
ここも清酒より焼酎を飲む人が多いように見えました。

 

この日の私はといえば、
広島の「酔心」の冷や(しゃれたデカンタで出てくる)と、
スペインの「OROYA寿司」という名の白ワイン
(日本人ワインメーカーがつくっているそう)で、
スシや松花堂弁当を堪能しました。

スシネタはなかなかの新鮮さ。
感心しました。

 

 

●▲■その4 ボトルキープのショーチュー事情●▲■

日本人駐在員を含む外国人駐在員の住居
(セキュリティー完備、まかない付きのマンション風メゾン)
が多い地区に近い、
居酒屋風のお店で「焼酎ボトルキープ」を観察。

 

いちばん多くずらりと並ぶのは「黒霧島」で
一番人気だそう。
(キャップは、KKマークのきた産業製!)

この店ではほかに、
日本製では「神の河」、
韓国の「真露」もある。

 

ただ、ボトルキープの棚の半分以上は、
様々な銘柄のベトナム製焼酎。
フエ・フーズ社の「帝王」「いも一」、
ワイン・フーズ社「芋大陸」「麦大陸」などが並ぶ。

隣で「いも一」を飲んでいた日本人駐在員に聞いてみると、

 「ベトナムに駐在していると、
ベトナム産を愛用したくなる」
のだそうです。

ビジネスマンとしては、
そのキモチなんとなくワカル、ですね。

 

ただ、飲み比べてみると、
個人的には明らかに日本製がまろやかで味わい深い。
ベトナム製焼酎はまだまだ発展途上でしょう。

 

 

●▲■その5 サケ事情、再び●▲■

日本人ビジネスマンもよく利用する和食のお店にて。

 

「らっしゃーい」
という威勢のいい掛け声で、
ベトナム人の女性店員(作務衣姿!)から
差し出された「本日のおすすめ」メニューを見て驚く。

  マダイの刺身        95,000ドン
霜降馬刺し          200,000ドン
ホタルイカ一夜干し  50,000ドン
ほっけの開き        120,000ドン
       
ここは日本?、という錯覚におちいります。
(通貨のゼロの多さを忘れれば、ですが。
1US$=20,000ドン、100円=23,000ドンくらい。)

 

 

この店で、ベトナム国の日本食レストランが、
他の国の日本食レストランと違う点に、
ハタと気付きました。

 

それは、、、

ベトナムでは、
「必ず日本語メニューがある」、そして
「必ず日本語が通じる」(たとえ店員が全員ベトナム人でも)こと。

アメリカやカナダ、
またはチャイナやホンコンの、
日本人経営でない日本食レストラン(今や大半がそう)では、
「日本語が通じない」のはもちろん、
「日本語メニューなし」が当たり前。

それに比べ、
ベトナムの人たちの日本文化、日本語を学ぶ勤勉さに驚きます。

日本の居酒屋も脱帽のような「おすすめ」メニューも、
「日式料理」追求精神の賜物のように思いました。

 

さて、肝心のお酒。

一升壜(!)の封を切って、
トクトクとついででもらった「月桂冠」は、
280mlで16.2万ドン也(約800円)。

シアトルで飲むカリフォルニア・サケでなく、
ジャパニーズ・サケはやはりうまい。
冷やで飲むとしみわたりましたね。

次に飲んだのは、
スパークリング・サケ「大関・花泡香」の小壜。
熱い国、そして和食に合います。
カウンターの裕福そうなベトナム人女性も飲んでいました。

目を移すと
韓国人とおぼしきビジネスマンや、
フランス人とおぼしきカップルもいて、
ちょっと高価な「幻系イモ焼酎」を飲んでいる。

 

ベトナムの和食、サケ、ショーチュー市場は、
実に順調に発展しているように感じました。

 

 

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建国65周年、南北統一35周年の、
社会主義国家ベトナム。

数年前に来たときに比べると、、、

 

街中、ホーチミンさん(の旗や像)だらけなのは相変わらず。
オートバイの数は感覚的に2倍(!)くらいに激増した一方、
街の清潔さはやや失われたような印象。

ただ、大都市ホーチミンやハノイで
暮らす人々の生活は確実によくなっている。
いまや、ポルシェやベントレーに乗る富裕層もいる。

そして、日本人ツーリストがものすごく増えたことも、
大きな変化。

ベトナムの経済、そして
サケ、ショーチュー市場(日本産とベトナム産の両方!)は、
今後も確実に発展していくように思います。

 

              (text = ゲリー・メリウォル)

 

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  <付記:ベトナムのマーケット情報>

 

●▲■[ビール生産量]:伸びは世界トップ

  ベトナムの2009年のビール生産量は
230万KLで世界15位。

  伸びは対前年比+24.3%(!)で世界トップ。
中国(+7.0%)、ブラジル(+4.4%)に比べても
ダントツの伸び方。
10年間で3.1倍になったそう。

  因みに、230万KLはカナダの生産量に匹敵する規模。

  なお、日本は599.6万KL(発泡酒、第三を含む)で、
世界7位、対前年比−2.2%(減少)

      (以上、キリンさんの発表による)

 

 

●▲■[清酒・焼酎のベトナム向け輸出]:驚異的な増加

  ★2009年の輸出「量」:
清酒は128Kl(=713石)、対前年比46%増(!)
焼酎は94Kl(=524石)、対前年比283%増(!!)

  ★2010年前半(1〜6月)の輸出「量」:
清酒は前年同期(2009年前半)比53%増(!)
焼酎は前年同期(2009年前半)比208%増(!!)
驚異的伸びを維持。今年はどちらも1,000石超え必至。

  ★2009年の輸出「単価」:
清酒は1.8リットル当たり1,123円
焼酎は1.8リットル当たり1,516円
これは、韓国(763円、686円)や、
中国(883円、1,021円)より高く、
英国(1,081円、1,433円)をも凌駕(!!)

       (以上、財務省貿易統計による)

 

●▲■[ベトナム製の清酒・焼酎]:現状で2社

  ★タナカ社
山梨でサンフーズを経営する田中さんが90年代に設立。
ホーチミン近郊で焼酎を製造。
乙類の「南蛮鬼ごろし」(芋・麦・米)
甲乙混和の「大陸」シリーズ(芋・麦・米・梅)など

  ★フエ・フーズ社
福岡の土木会社を経営する才田さんが90年代に設立。
中部の大都市、フエで清酒を製造。その後焼酎も製造。
清酒は「越の一」「娘薫」
焼酎は「鬼」「帝王」「いも一」など

  ★ほかに、、、
以上は日本人経営だが、
最近ベトナム人が焼酎蒸留器を設置したと聞きます。
この人は将来、清酒も作る計画だそう。

  FTA(自由貿易協定)の絡みもあり、
ベトナム清酒、ベトナム焼酎が
アジアの国々に大量輸出され消費される日も近いかも!?

 

●▲■[総論]:注目すべき成長市場

  ベトナムはBRICS(ブラジル、ロシア、インド、チャイナ)
に続く経済発展市場。

  2008年に一人当たりGDPが1,000ドル台に乗って、
「生産拠点」という従来の位置づけから、
「ベトナム自体がマーケット」として注目される。

  経済自由化(ドイモイ)に踏み切って約25年。
「共産党独裁+経済自由化」で成功しているのは中国と同じだが、
「チャイナリスク(昨今のレアアース禁輸や邦人拘束のような)」
のようなことはないだろうというのが一般的観測。

  エースコック(ベトナムのトップブランド!)と
キリンが合併会社を作ったという報道も記憶に新しい。

 

              (付記のtext = 喜多常夫)

 

 

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さて、参考情報の紹介です。

 

●▲■ ご紹介アイテムその1:K2ディビジョン ●▲■

2010年9月改定「K2ガラスびんカタログ」(20ページ)
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/package/K2glassbottle_ed1009.pdf

 

オリジナルガラスびんのカタログを更新しました。

  ■一升壜王冠口の「セレブ」シリーズ
■首の長い「ジラフ250」
■焼酎に最適な「ほんかく900」
■ちょっと大きい「ぐいのみ75」

など、新ラインナップをご覧ください。

 

 

●▲■ ご紹介アイテムその2:K2ディビジョン ●▲■

 

「パッケージ・デザイン・アーカイブ」から、
当社の資材などをご採用いただいた最近の事例をご紹介します。

 

■PDA_203「COOKING MAGIC! ひと振り酒」
http://www.kitasangyo.com/Archive/PDA/PDA_203_ed02.pdf
酒造組合中央会さんの統一企画。
「ピンク色のプラ替栓」をご採用いただきました。

 

■PDA_44_5.1「はせがわ酒店 兼八と磯自慢」
http://www.kitasangyo.com/Archive/PDA/PDA_44_5_1.pdf
日本の酒シーリーズの規格。
「グランブリュ750」びんをご採用いただきました。

 

■PDA_104「カートン・デザインの事例研究#4.2」
http://www.kitasangyo.com/Archive/PDA/PDA_104.pdf
左右の色アクセントが特徴の「プレミアム・カートン」を
ご採用いただいたウイスキー、清酒、ビネガー、みりんの事例です。

 

■PDA_205「スクリュー・キャップのワイン・洋酒」
http://www.kitasangyo.com/Archive/PDA/PDA_205.pdf
スクリューキャップ(PPキャップ)や王冠などを
ご採用いただいた、ワイン、ウイスキーの事例です。

 

 

「パッケージ・デザイン・アーカイブ」には、
ほかにも多くのデザイン事例を収録しています。
http://www.kitasangyo.com/Archive/Package-design-archive.html

 

 

 

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●▲■バックナンバー閲覧可能!「メルマガ・クロニクル」

http://www.kitasangyo.com/Archive/mlmg/BN_top.html

2002年5月の創刊以来のバックナンバーを収録しています。
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