●▲■ きた産業 メルマガ・ニューズ vol.94 ●▲■
    発行日:2007年 2月7日(水)
 ■アルコール飲料産業のためのクロスオーバー情報■
発行:きた産業株式会社 http://www.kitasangyo.com


------------------< 目 次 >------------------

     ●▲■酒米「山田錦」の長い歩み (前編)
                           (text:入江経明)

ご紹介アイテム●1▲「お酒の、キャップは、きた産業」
ご紹介アイテム●2▲「カップ酒ワールド」
ご紹介アイテム●3▲「びんやキャップをご採用いただいた事例」

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私が住んでいる兵庫県三木市は神戸市の北西に位置し、
大工道具などの金物の町として、
或いは古く秀吉に兵糧攻めにあった城下として知られていますが、
さらに酒米(酒造好適米)の王様山田錦の生産量が日本一の町でもあります。

家の近くには山田錦の田んぼもあり、
丈が高く遅くまで青々としているので一目でそれと判ります。

  ●■前史:藩政時代から酒米を生産●■
山田錦の主産地は東西に延びた標高200m前後の丘陵の谷あいにあり、
瀬戸内海気候に準じて穏やかな気候ですが、
夜間海からの暖かい南風が丘陵に遮られて入りにくく
昼夜の気温差が大きいのが特徴で
山田錦のような大粒米を作るには欠かせない条件となっています。

土壌は凝灰岩が風化した粘質土で石灰、苦土、カリ等の塩基に富み、
肥料もち、水もちに優れていて藩政時代から大粒の酒米が生産されていました。

当時は何昼夜にも及ぶ過酷な水車精米に耐えられるように
未熟米、死米等のくず米が少なく粒ぞろいが良い事が要求され
その検査は非常に厳しく農家は選別作業に大変な労力を強いられ、
更に精米中の破砕欠減を補うため
5〜10%のコミ米(おまけ米)が義務付けされていました。

明治になって税制が物納から金納に変わり検査もゆるやかになったため
改めて酒造家と優れた酒米を生産する村との契約栽培
いわゆる村米制度が始められ今も一部で残っています。

  ●■大正12年、山田錦誕生●■
山田錦の母体は
大正12年に兵庫県立農事試験場で山田穂と短稈渡船を交配して誕生しました。
これまでの純系淘汰法に替わって
初めての交配育種法による品種改良でした。

山田穂より草丈が10cm程度短くて倒伏に強く
栽培容易で且つ収量性が高く品質優良が認められ
昭和11年に山田錦と命名され奨励品種となりました。

母親であり名前の由来でもある山田穂は明治の初年から兵庫県で栽培が始まり
大正12年前後には県下で最大の栽培面積を誇る酒米でした。
原種を見つけた場所は多可郡中町(現多可町)の山田税三郎の圃場、
伊勢山田に近い圃場、神戸市北区山田町の圃場の三説がありますが
専門家の間では山田税三郎説が有力です。

一方父親の短幹渡船(わたりふね)は滋賀県から導入され
そのルーツは岡山の雄町とされています。
育成試験では加東郡社町の酒造米試験地(現兵庫県農水技術総合センター酒米試
験地)
の初代主任藤川禎次氏が栽培適正試験は勿論の事、
心白、腹白等玄米形質を入念に調べ上げ山田錦の総合的な優秀さを実証して、
今も山田錦の育ての親として語り継がれています。

  ●■食料統制が追い風に●■
奨励品種に編入された山田錦の作付面積は急速に拡大して
昭和17年にはおよそ7500ha(1ha当りの収量は約4〜4.5t)までになりました。
その背景には山田錦の栽培並びに品質特性が優秀であった事に加えて
時代が加勢してくれた事も忘れてはいけません。

実は当時灘では摂津茨木地方の中上米(ちゅうがみまい)が
山田錦などの播州米よりも優れているとされていて主に麹米に使用していまし
た。
中上米は播州米に比べて製麹操作が容易で力の強い麹が得られていたようです。

ところが昭和15年に戦争に伴う食料統制強化の一環として
県外からの購入が原則禁止され山田錦を使用せざるを得なくなったのです。
当初杜氏さん達は大変苦労されたようですが
数年のうちに使いこなす技術を習得して
それ以降は敢て中上米を求める声は聞かれなくなったそうです。

しかし昭和20年代は食料増産が優先され
山田錦の減少の一途をたどり遂には2500haまで落ち込んでいます。
そこで山田錦の復活を賭けて昭和25年に兵庫県酒米振興会が発足し、
適地集約栽培、毎年の種子更新、需給バランス調整、格差金の上積み等々、
品質の向上と生産意欲の向上を強力に推し進め、
灘酒の生産拡大と相伴って
ようやく昭和30年台に入ってから本格的に作付けが拡大し始め
昭和38年にはおよそ8000haまで回復しました。

  ●■昭和40年〜50年代、酒米不要論●■
ところが灘酒の生産拡大が続いているにもかかわらず
昭和40年代に入って再び減少し始めました。

その理由として生産者側からは
高度成長期を迎え農業人口の流出、
或いは兼業農家が増えて高度な栽培技術を必要とする山田錦から
安易で多収穫の一般米へ移行、
そして昭和40年台から米余り時代が到来して生産調整の始まり等々、
酒造家側からは
高価格、酒米不要論の台頭、酒造りの自動化、
自主流通米制度の発足 (昭和44年) による原料米選択の自由等々
が挙げられ昭和50年台後半には再び2000ha台まで落ち込みました。

酒米不要論は酒米、特に山田錦は一般米に比べて高すぎるのではないか
と言う素朴な疑問から始まりました。
その要旨は酒米を必要としたのは精米が未熟な昔の事で
高精白が可能になった今では醸造技術の進歩と相まって
出来上がったお酒に一般米との差が見られない、
仮に見られたとしても5%ほど精白を上げるとその差は解消する
という事でした。多くの人が賛同したようです。

  ●■機械製麹機の影響、通風か無通風か●■
しかしそれ以上に影響したのが機械製麹機の普及である
と私は考えています。
私は昭和40年に灘の酒造会社に入りましたが、
当時の灘では生産拡大の勢いに乗って新蔵の建設が進められ
自動化設備もいろいろと取り入れられていました。
大型精米機、連続蒸米機、通風製麹機、自動もろみ圧搾機等々。
そして酒母も手間のかかる生もと系から簡易な速醸系に替わりつつありました。

私が入社した会社でも一蔵に通風製麹機が据えられていましたが
山田錦は軟らかすぎてどうもうまくいかないのです。
軟弱で麹菌のハゼ廻りが悪く力の弱い麹になりがちでした。
一方五百万石とか一般米の日本晴の方が良い麹になったのです。

通風製麹機は乾湿差のない飽和空気を蒸米層に送ります。
もし乾いた空気を送ると風の当る表面から蒸米は乾いて麹にならないからです。
従来の麹室では乾湿差をつけて蒸米表面を適度に乾燥硬化させて
麹菌のハゼ廻りを促がしていますが
通風製麹機ではそれが出来ません。

山田錦のような軟らかい蒸米は最後まで軟らかいのです。
五百万石、日本晴は表面硬化が速くてハゼ廻りがよく
見た目にも美しい麹になりました。
種麹を振り忘れても麹になると今でも云われています。

昭和60年には全国の山田錦の作付けが約2000haに対して
五百万石は約6200haと3倍に達しています。

                        (後編に続く)

text:入江経明
(大手酒造メーカーの技術担当部長を経て、
現在は清酒製造の指導やコンサルティングをおこなう。三木市在住。)

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さて、当社の商品の紹介です。

今回は、清酒・焼酎関係のポスターを3点です。
読者の皆さん、ご自身のブランドは見つけていただけますか?

もしなければ、ぜひお役に立ちたいと思います。
お酒のキャップや壜のことなら、きた産業へご紹介ください。


●▲■ ご紹介アイテムその1:K2ディビジョン ●▲■
「お酒の、キャップは、きた産業」
http://www.kitasangyo.com/Archive/CM_Library/CM_KK_web.pdf


●▲■ ご紹介アイテムその2:K2ディビジョン ●▲■
「カップ酒ワールド」
http://www.kitasangyo.com/Archive/CM_Library/Cupsakeworld.pdf

●▲■ ご紹介アイテムその3:K2ディビジョン ●▲■
「びんやキャップをご採用いただいた事例」
http://www.kitasangyo.com/Archive/CM_Library/FOODEXJ2006-syohin.pdf

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