●▲■ きた産業 メルマガ・ニューズ vol.88 ●▲■
    発行日:2006年 11月23日(木&祝)
 ■アルコール飲料産業のためのクロスオーバー情報■
発行:きた産業株式会社 http://www.kitasangyo.com


------------------< 目 次 >------------------

●▲■「バイオエタノール、バイオディーゼル、バイオメタノール」
              について。ただし「モノローグ(独白)」入り。

  ●▲基本概念「カーボンニュートラル」
  ●▲バイオエタノール、E3ガソリン狙い
  ●▲バイオディーゼル、B20軽油狙い
  ●▲バイオメタノール、次のステップの有望株
                        (Text=喜多常夫)

清酒・焼酎・泡盛メーカーさまへ
ご紹介アイテム●1▲「汎用デザインの一升壜用王冠」「PPキャップ」
ワインメーカーさまへ
ご紹介アイテム●2▲「汎用デザインのキャップシール」「無地ノマコルク」
地ビールメーカーさまへ
ご紹介アイテム●3▲「汎用デザインのビール王冠・マキシキャップ」

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今日は勤労感謝の日。
ゆっくり朝刊を見ていると小さな記事を見つけた。

「政府は日本アルコール産業(新エネルギー・産業技術総合開発機構、
通称NEDOから事業を分離して、今年4月に設立した政府100%出資会社)
の保有株を、2007年度から売却する方針。
工業用アルコールは今年3月までNEDOが専売していたが4月に自由化。
同社の発足で民営化を進めている」

個人的観測だが、
これは「買い」だろう、きっと株価は将来高くなるぞ、と思う。
なにしろアルコールは、今後世界の基幹資源になるやも知れない。

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まず、バイオエタノールについて書いてみよう。
技術的なことは少々荷が重いが、
この1−2年、客先でも話題にされるし、講習会でもよくテーマになる。
新聞にも連日のように掲載される。

資料も随分たまったので、項目を作ってまとめてみた。
勝手ながら、素人的感想というか、「モノローグ(独白)」入りである。

●▲基本概念「カーボンニュートラル」

バイオマス(生物由来の有機性資源。ただし化石資源を除く)
をエネルギーとして利用したときに放出されるCO2は、
バイオマス生成時に光合成で吸収されたものなので、炭素は循環するだけ。
化石燃料と違って大気中のCO2量は増加しない。

またバイオマスは、何もしなくてもいずれ分解され、CO2放出するのだから、
大気中の炭素(カーボン)絶対量を増やさない(ニュートラル)。
京都議定書「認定済み」の、世界共通理解。

  〜モノローグ〜 いずれ分解されるから同じとは言えるが、、、。
  エタノールやディーゼルに加工するプロセスなど考えると、
  温暖化に影響ゼロとはとても思えないなあ。
  
  とはいえなにしろ「認定済み」。
  世界はどんどんそちらに向かっている。
  ガソリンにバイオエタノールを3%混ぜるのは
  (いわゆるE3ガソリンの販売開始は)間近。

●▲バイオエタノール、E3ガソリン狙い

<原材料:穀類・果実・米・・・アジア的作物系>

先日、九州の某穀類焼酎メーカーにおうかがいしたとき、
事務所の中に「バイオエタノール事業開発室」なる部屋があった。
どんなことをしているのですか、と伺うと、
「ええ、まあ色々」と、詳しくは教えてくれなかったが結構突っ込んでいる感
じ。

  〜モノローグ〜 「バイオエタノールは大規模でなければペイしない」
  と専門家は口をそろえる。
  が、個人的には早晩、中・小規模工場の時代が来るように思う。
  醗酵や蒸留の長年のノウハウのある清酒・焼酎・泡盛メーカーは、
  一番取り組みやすいのではないだろうか!?


実現しなかったが、某農協の2005年プロジェクト資料が手元にある。
私も少々首を突っ込んだ案件。
落下した果実は売り物にならず、毎年百万円以上の処理費で廃棄するのだが、
それをアルコール醗酵させて、蒸留塔でエタノールを作る計画。
1トンの規格外果実を投入して30リットル(!)のエタノールを取るのに必要な
連続蒸留などの設備は4,400万円也。う〜ん。。。

  〜モノローグ〜 経済産業省と農林水産省のバイオマス補助金前提。
  毎年廃棄費用を払って炭酸ガスにしてしまうのと、
  補助金なしでは回収不能な設備投資で有効(?)利用するのと、
  はたしてどちらがいいのか、、、にわかに判りかねる。
  これこそバイオマスエネルギーのジレンマである。


新潟では、米からエタノールをつくるプロジェクト、
北海道では、規格外小麦でエタノールを作るプロジェクト、
ベトナムでも(日本の商社)双日が米からエタノールをつくるプロジェクトがあ
る。

  〜モノローグ〜 規格外中心かもしれないが、
  穀物・果実・米は、まずは食物。
  「燃料手段」としてよりより「食料手段」として利用したほうが、
  地球のために良いように思うなあ。

  米については実でなく籾殻利用も研究されているらしい。
  それはいいのだが、
  プロセスを聞くと結構環境負荷が高そうである。


<原材料:材木、生ごみ・・・廃棄系>

建設廃材からアルコールを作ることは日本が先進らしい。
硫酸でセルロースを分解する方法が実用化されているが、
酵素で分解する方法も検討されている。
アルコール飲料業界ではサッポロビールさんが取り組まれている。

また、北九州では新日鉄が生ごみからエタノールを作る実証事業を始める。
これも、E3ガソリンを目的としたプロジェクト。

  〜モノローグ〜 硫酸の処理がややこしそうだが、木材はよさそうだ。
  建設廃材以外に林業残渣、家庭の剪定残渣も相当量ありそうだし。
  因みに、政府資料によれば日本のバイオマス潜在量は以下の如し。

  製材工場廃材+建築廃材+林地残材=木材系:1,480万トン
  食品廃棄物:2,200万トン、農業非食用部:1,300万トン、
  下水汚泥:2,600万トン、廃棄紙+パルプ廃液:2,800万トン、
  家畜排泄物:9,100万トン、
  (なぜか、人間排泄物:?????万トン、は入っていないが、
  こいつのバイオマス利用は究極かも知れぬ。)

  基本的には、「作物系」はカウントせず、
  「廃棄系」「未利用系」を利用したい、という方針が読み取れる。


<原材料:サトウキビ、トウモロコシ・・・メジャー作物系>

サトウキビは糖分があるのでそのまま醗酵・蒸留・脱水、
トウモロコシは酵素で糖化してから、醗酵・蒸留・脱水、となる。
(注:通常の連続蒸留では95%程度のエタノールしか出来ないので、
脱水して99.5%の燃料用アルコールにする必要がある。)

バイオエタノール先進国のブラジルは、サトウキビから、
最近になってE3、E10ガソリンを始めたアメリカは、トウモロコシからである。
アメリカでは、エタノール精製所の建設ラッシュで、
現在35箇所が建設中とのこと。州も大枚の補助金を出すらしい。

アメリカは消費量急増で自国消費分も足りないので、
日本は当然ながらブラジルからエタノールを輸入する将来スキームを考えてい
る。
三井物産が国営ペトロブラスと、伊藤忠も政府系企業と、それぞれ組んで、
日本に大量に輸出する心算らしい。

因みに、清酒メーカーさんが使われている醸造用アルコールも
80%以上がブラジル産だそうだが、
ガソリン添加用アルコール需要急増で、醸造用も価格高騰とのこと。
「風が吹けば桶屋」、ではないが、
「ガソリン添加が増えれば純米酒が増える」、という事もあるかも。

なお、サトウキビは、日本でも、
沖縄の伊江島でアサヒビールさんが実証実験を行っているほか、
宮古島でも行われている。
サッポロビールさんは丸紅とタイでやる予定である由。

  〜モノローグ〜 サトウキビ、トウモロコシが一番メジャーなバイオマス。
  とはいえ、日本の潜在バイオマスの部分に記した「廃棄系」でなく
  「収穫作物」をそのまま精製工程に投入するのである。
  英語ではenergycropといっているが、なんだかモッタイナイ。

  トウモロコシは、食べる、エタノールをとる、以外に、
  生分解プラスチックにもなる。
  ポリ乳酸はパソコンボディーなどにも使われ始め、ますます注目株。
  やはりアメリカの世界戦略か。


<バイオエタノール関連の話題1:ETBE>

アメリカ、ブラジルではエタノールをそのままガソリンに混合するが、
日本の石油連盟は、
ETBE(エチルターシャリーブチルエーテル)に加工してから混合するほうがい
い、
と主張している。
ETBEは環境・人体への影響が指摘されて、世界的には後退しつつある。
にもかかわらず石油連盟は固執しているようで、今週の新聞にも
「ETBE混合方式で来年から関東圏50箇所のガソリンスタンドで販売する」
と載っていた。日本は、まだまだ紆余曲折がありそう。


<バイオエタノール関連の話題2:超音波霧化分離>

アルコールを分離する技術は伝統的に蒸留であるが、
膨大な熱エネルギーを必要とする。

ほかに膜技術を使ったものもあるが、
最近全く異なる技術がある。
低濃度のエタノール水溶液を超音波で振動させると、
高濃度エタノールが霧として取り出せるそう。
これには日本酒メーカーさんが関与されている。期待します。


●▲バイオディーゼル、B20軽油狙い

バイオディーゼル、という言葉は、
日本ではバイオエタノールほどメディアに登場しないが、
ヨーロッパでは注目度が高い。ドイツやフランスではすでに利用されている。

ヨーロッパではいまや普通自動車の半分以上がディーゼルである。
B20というのは、軽油にバイオディーゼルを20%混ぜたもので、
E3同様、B20までは既存エンジンを仕様変更せずに使用可能らしい。

<原材料:ナタネ、ひまわり、大豆、パーム油・・・作物系>
バイオディーゼルは、
ナタネなどの植物油とメタノールを原料にして作ったメチルエステル。
ヨーロッパでは、一番搾りは食用に、二番搾りはバイオディーゼルに、
といった感じらしい。
日本でもいくつかの地方自治体が取り組んでいるが、
むしろ後述の廃棄油再利用のほうが有名。
なお、帝人がヨーロッパで共同生産に乗り出すとのこと。

<原材料:食用油の廃油・・・廃棄系>
日本では、廃食油を回収して、
それを原材料にバイオディーゼルに加工する機械や、
実際に加工して販売する企業がよくメディアで紹介される。


  〜モノローグ〜 日本でもディーゼルが見直される気運が急。
  バイオエタノールより、現実味がありそうで期待したい。
  なにしろバイオディーゼルは簡単に作れるらしい。
  外国では、ガレージで作るための解説書も売られている由。


●▲バイオメタノール、次のステップの有望株

バイオメタノール、という言葉はあまり聴かないかもしれないが、
今後の注目株らしい。

<原材料:木材・植物・・・醗酵しにくい植物系>
バイオメタノールは、バイオエタノールのような微生物による醗酵でなく、
高温で一酸化炭素ガスや水素ガスにしてから、
合成する方式を主に想定しているらしい。
したがって糖や澱粉の有無による足かせがない。

インターネットで調べればすぐわかるが、
日本でもいくつかの実証プラントが作られている。

  〜モノローグ〜 メタノールは、先述のバイオディーゼルにも使われる。
  ノートパソコンの次世代電池の超小型燃料電池には、
  メタノール型が有力なのだそうだ。
  ACアダプターを持ち歩かず、メタノールを補給する時代が来るかも。

  ブドウ由来の蒸留酒をつくると、結構メチルアルコールがでるので、
  メチルを抑える作り方を工夫しているのが実態。
  将来、蒸留以外の分離技術を確立すれば、
  バイオメタノール生成技術として案外、
  醗酵も脚光をあびるかもしれあいなあ、と思う。

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株式会社ルーツ機械研究所(きた産業の機械部門)が所属する、
全国醸造機器組合では、
組合員企業で「バイオエタノール研究会」を作っています。
設備等でお役に立てるかもしれません。
ご計画やご質問などあれば、ご連絡ください。

                        (Text=喜多常夫)

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さて、当社商品の紹介。今回は汎用デザイン資材です。


清酒・焼酎・泡盛メーカーさまへ

●▲■ ご紹介アイテムその1:KKディビジョン ●▲■
「汎用デザインの一升壜用王冠」
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/closure/hanyoucap_KK_ed8_1.pdf
「びん燗殺菌可能な耐熱替栓仕様」もラインナップしています。


「汎用デザインのPPキャップ」
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/closure/hanyoucap_PP_ed6.pdf
「清酒」「生酒」「本格焼酎」「泡盛」など。
また、パッケージのトータルデザイン重視で、
あえて黒無地や金無地のキャップを採用されるお客様も増えています。

ワインメーカーさまへ

●▲■ ご紹介アイテムその2:K2ディビジョン ●▲■
「汎用デザインのワイン用キャップシール」
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/closure/shrinkseal-wine.htm
熱収縮タイプは5000枚、錫シールは2000枚のケース単位で出荷可能。

「無地ノマコルク」
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/closure/Nomacorc_generic.htm
4種類の規格を準備。
3000個(ケース単位)で出荷可能。


地ビールメーカーさまへ
●▲■ ご紹介アイテムその3:KKディビジョン ●▲■
「汎用デザインのビール王冠とマキシキャップ」
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/closure/O2_Scavenger.htm
王冠は6000個、マキシキャップは7700個のケース単位で出荷可能。

ケース単位で購入できる汎用デザイン資材は、
合理化・在庫圧縮の決定打です。ぜひご検討ください。

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●▲■バックナンバー閲覧可能!「メルマガ・クロニクル」

http://www.kitasangyo.com/Archive/mlmg/BN_top.html

2002年5月の創刊以来のバックナンバーを収録しています。
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