●▲■ きた産業 メルマガ・ニューズ vol.264 ●▲■
発行日:2020年8月17日(月)
■アルコール飲料産業のためのクロスオーバー情報■

発行:きた産業株式会社 http://www.kitasangyo.com

 

------------------< 目 次 >------------------

●▲■  COVID-19でも「缶のクラフトビール」は減らない?
■ クラフトビールの四半世紀を5年/15年/5年の3期に分ける
■ 第3期は、開業45.6軒/年-閉店3.0軒/年=年平均42.6軒増
■ 第3期の、特徴を3つ抽出:
①外国人フレンドリー、②缶の増加、③中国設備の台頭

                            text = 喜多常夫

 

ご紹介情報●1▲ 12充填ヘッド+3シーマーの缶ビール充填機「G-TRON」
ご紹介情報●2▲ 1充填ヘッド+1シーマーの缶ビール充填機「Beer Radix」
ご紹介情報●3▲ 3充填ヘッド+1王冠打栓のびんビール充填機「BF HEX」

 

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COVID-19の深刻な悪影響の中、かえって売れているお酒がある。
●「缶」の「第三のビール」
(注:業界では「新ジャンル」だが、日経新聞などは「第三」)
●「缶」の「RTD」
●「紙パック」の「清酒、焼酎」

上記ほどではないが、以下も悪くない。
●「びん」の「一部のウイスキーやジン」
●「缶」の「クラフトビール」

ご存知の通り、
安い「第三のビール」や「RTD」に押され、高い「ビール」は激減している。
10月からの税制改定第1ステップで、
第三とビールの税金差は350缶で17円ほど縮まるが、
ビール苦戦の傾向は変わりそうにないと感じる。

その中で「缶」の「クラフトビール」が悪くないのは矛盾のように見えるが
巣ごもり需要でも「マーケットの二極化」があることの証左だろう。

 

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今回のメルマガは「クラフトビール」について。

クラフトビールのマーケットの近年の状況としては、、、
■2018年まで5年ほどは成長を継続
■2019年にやや成長鈍化、サチュレーション気味
■2020年はCOVID-19の影響で減少必至
といった感じだと思う。

 

クラフトビールは、
●樽入り、●びん入り、●缶入り、●その他(PETボトル、家庭用樽など)
の4つの、いずれかの容器で販売されることになる。

 

COVID-19影響下、2020年のそれぞれの通年販売量は、
●「樽」入りは、店頭販売用・イベント用なので、当然、減少する
●「びん」入りも、減少がさけられない
●「缶」入りは、冒頭記載の通り、わずかだが増加傾向
●「PETボトル」入りは、上3つに比べ絶対量がごく少ないが
タップマルシェ分があって増加
といった予測を持っている。

 

当社、きた産業は、
クラフトビールの缶・びん・王冠・樽や、充填機を販売していて、
そこから判断した「感覚的分析」であることをお断りしておきますが、
「缶」入りの「クラフトビール」の販売量は、
2020年も減らず、逆にわずかだが増加ではないかと思います。

 

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当社では、地ビール解禁以来、醸造所数を独自に集計してきました。
遅ればせながら、2019年末時点までのリストを公開しています。

 

「全国醸造所リスト@2019年末時点」(2020年7月31日更新)
http://www.kitasangyo.com/beer/MAP.html

  ■2018年末の醸造所数=380か所
■2019年中の開業=56か所
■2019年中の閉店=5か所
■差し引き2019年末で営業中の醸造所数=431か所

 

上記サイトに、地区別に431の実名リストを掲載しています。
(記載漏れなどあるかもしれません。
お気づきの点があれば、是非ご一報ください。
2020年1月以降の開業分についても、近日とりまとめ予定。)

 

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上記資料から、1995年以来2019年までの25年、
地ビール・クラフトビールの四半世紀の歴史を俯瞰すると
「3つの時代」に分けることができる。

 

第1期 ■1995~1999年:急増の5年■
●平均開業: 62.6軒/年
▲平均閉店: 2.0軒/年
■差し引き: +60.6軒/年の増加

  設備資金に1~3億円をつぎ込んだ時代。
ピークの99年には303社が操業。

 

第2期 ■2000~2014年:淘汰の15年■
●平均開業: 5.2軒/年
▲平均閉店: 10.9軒/年
■差し引き: ▲5.7軒/年の減少

  実は美味しくない地ビールが多い、と言われた時代。
大手ビールで「発泡酒」が商品化され、
さらに安価な「第三のビール」が出現した時代でもある。
163社が閉店し、15年で300社強から200社強に。
生き残った醸造所、新規参入では味や品質の改善が進んだ。

 

第3期■ 2015~2019年:再ブームの5年■
●平均開業: 45.6軒/年
▲平均閉店: 3.0軒/年
■差し引き: +42.6軒/年の増加

  ビール品質が全体として安定、
世界的なクラフトビールブームもあって、市場が再拡大。
大手(とくにキリン)の本格参入を契機に、
「地ビール」に代わって「クラフトビール」が一般呼称になる。
2019年の総量は3万6,500KL(当社推定)、
ビール類(発泡酒、第三を含む)総量の0.8%程度のシェア。

 

そして、嗚呼、2020年はCOVID-19に直面。
あくまで予測ですが、これからの5年=第4期は、
最初の1年半は減少、その後の3年半は増加
期末の2024年には、2019年の34%増の4万9,000KL
ビール類全体のなかのクラフトのシェアは、念願の1%越え達成
と見込んでいます。

 

そのあたりの事、およびパッケージの分析を下記資料にまとめています。

●▲■ アーカイブ資料
「クラフトビールのパッケージの10年分析
/ 2014年実績→2019年実績→2024年予測」
http://www.kitasangyo.com/pdf/archive/world-alcoholic/beer_pack_stat.pdf

 

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「第3期・2015~2019年」再ブームの5年間は様々な変化があったが、
そのなかで、筆者の視点で気になったこと、3つを抽出しておきます。

 

●▲■ 「第3期」の変化・その1 ●▲■ 
外国人オーナー・外国人醸造責任者がとても増えた

日本の酒造業一般では、
「外国人オーナー、または、外国人醸造責任者」は少ない。
私の知る限りでは、以下の方々である。

■「清酒」では2社
フィリップ・ハーパーさん(木下酒造)
リシャール・ジョフロワさん(白岩・2020年7月発売の「IWA 5」)
■「ワイン」でも2社
ブルース・ガットラブさん(10Rワイナリー)
アーネスト・シンガーさん(ミレジム・富士山ワイナリー)
■「ジン・蒸留酒」だと1社
デービッド・クロールさん(季の美・京都蒸溜所)

ところが、、、
■「クラフトビール」は27社(もある!)

名前を列記することはしないが、
当社が把握しているだけで27社が、
日本人でない方がオーナーであったり、実質的に醸造所運営をしている。

 

  ヨハネス・ブラウンさん(小樽ビール・アレフ)
ブライアン・ベアードさん(ベアードブルーイング)
シュテファン・ラーガーさん(バイエルンマイスタービール)
のように、
第1期や第2期から活躍される方もいるが、
ほとんどが「第3期2015~2019年」に参入された方々。

27社は、全醸造所数431の実に約6%にあたる。

 

地ビールが始まったころ、アメリカ、ドイツ、チェコ、英国などから
たくさんの外国人が日本にやってきた。
彼ら彼女らが日本の地ビールの幕開けに資した功績は大きいが、
ほとんどは経営と無縁で、期間契約の醸造指導を行った人たち。
いわば、明治時代の「お雇い外国人」教師のような存在だった。

しかし今は、オーナー、あるいは実質的に醸造所運営をする、
「経営する外国人」として活躍されている。
あたかもクラフトビールは、
「閉鎖国日本において、例外的に開かれたビジネス業種」であるが如し。
(女性経営者がもっと増えれば、ジェンダーでも開かれたビジネスになるのだが)

これだけ外国人経営者比率が高いのは、
日本では、ビジネス全般でみても珍しいことだし、
ましてや政府の免許制度のある業種では異例である。

クラフトビールは「外国人フレンドリー」なビジネスになった。
良い変化だ、と思う。

(名前を記載させていただいた方々:
ご活躍されていて、ネットでも名前がすぐに出てくる方ばかりですので
実名で書かせていただきました。)

 

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●▲■ 「第3期」の変化・その2 ●▲■  
缶入りのクラフトビールの世界的増加

 

クラフトビールの缶の商品化は、
世界で一番、日本が早かったと思う。

 

●日本初の「地ビール缶」は1996年発売のエチゴビール。
アルミの3ピース缶で、通称「レトロ缶」。
東洋製罐とのパートナーシップで、
当社、きた産業が「清酒お燗機能付き容器」の製造に使っていた缶体を
転用して提案したもの。
たぶん、世界初のクラフトビール缶でもあった。
(注:前掲の下記資料の4ページに写真)
http://www.kitasangyo.com/pdf/archive/world-alcoholic/beer_pack_stat.pdf

●日本初の「小型・自動ビール缶詰め機」は、
当社の機械・技術部門であるルーツ機械研究所が製作した
「Beer Radix」(1ヘッド充填+1ヘッドシーマーのモノブロック)で、
1997年に初納入。
以来、改良を重ね、今も日本の缶詰機の定番のひとつ。
低速ながら自動で、ワンマンオペレーション可能なのが特徴で、
この機械によって缶ビールを商品化したクラフトビールは多い。

 

上記のような事情で、日本では
「第1期1995~1999」からクラフト缶ビールが存在した。

当時、アメリカのクラフトビールのコンベンションに参加して、
「日本ではクラフト缶ビールがある」、と話したら、
「缶はクラフトじゃない、缶とクラフトは矛盾だ」、と否定されたものだ。
(クラフトビールは樽かびん、缶は大手ブランドのマスプロ、という観念。)

 

ところが、、、
特に2015年以降、アメリカで急激にクラフト缶ビールが増加。
いまや、アメリカのスーパーではどこに行っても、
バドやミラー(日本で言えばアサヒやキリン)の
数倍の面積でクラフト缶ビールが販売される。
COVID-19でさらに、缶はクラフトの経営に欠かせないものになった。
アメリカではアルミ缶容器の供給不足も伝えられている。

背景には、手軽なビール缶充填機の普及がある。
インラインの4本ノズルや6本ノズルで、缶を「密封せず」に充填、
すなわち、「カウンタープレッシャなし」で充填して、
缶蓋を巻きしめるモノブロック機である。

ビール充填機の正統派エンジニアが見れば、
否定すること間違いなしのテクノロジー。

数年前にその缶詰機の存在を知った時は、「まさか普及するまい」と思ったが、
今やアメリカ・カナダで数社のメーカーがこの種の缶詰機を作っていて、
数百台が、北米でクラフト缶ビールの商業生産に実用されている。
それによって、アメリカのクラフト缶ビールのブランド数も、数百に達している。
(もちろん、きちんとしたロータリー缶充填機を使用する醸造所も多い。為念。)

 

アメリカと違って第1期から缶入りクラフトビールがあった日本でも、
「第3期2015~2019年」は特に、缶比率が増加した5年だ。
冒頭記したように、2020年のCOVID-19環境下でも勢いがある。

大手のビール類(発泡酒、第三を含む)の缶化率は75%。
クラフトビールの缶化率は、まだその半分、37%でしかない。

「第4期2020~2024年」もクラフトの缶は増えるだろう。
(個人的には、びん派だが)
缶の増加は、クラフトビールの拡大にとって良いことだ、と思う。

 

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●▲■ 「第3期」の変化・その3 ●▲■   
中国製ビール機器の世界的な台頭

 

「第1期1995~1999年」において、
日本の地ビール参入者の多くは、
アメリカ、カナダ、ドイツ、チェコなどの醸造設備を、
専門商社経由で購入していた。
投資額は1~3億円が普通だった。

アメリカではそんなに高くはないが、
設備は、アメリカ製、カナダ製、ドイツ製など、同様の事情だった。

ところが、21世紀になって徐々に、
そして2015年以降は急速に、中国製になった。

最近の日本の、極小規模の街中醸造所の中には、
設備らしいものを使わない(「鍋釜式」と称する人もいる)場合もあるが、
小規模でも一般的なビール醸造設備を備える場合は、
中国製が圧倒的に増えたように思う。

ドイツやアメリカの専門業者から購入しても、
「実は中国製」、という場合は非常に多い。
価格は、他国に比べ相当安い。
初期のころは、ステンレス品質や溶接技術など難点もあったが、
最近はずいぶん改善されたそうなので、悪くないと思う。

 

ビール醸造設備の世界的巨大企業として、
以下の社名をご存知の方も多いだろう。
■ドイツの「Ziemann、ツィーマン」(創業160年以上の老舗)
■英国の「Briggs、ブリッグス」(創業250年以上の老舗)
この2社は、2010年以降に、中国の「CIMC中集」の資本傘下になっている。
CIMC中集は、
■カナダの「DME」(クラフト向け設備の会社、日本でも実績あり)
も買収している。

 

車のボルボを購入するとき、
中国資本傘下の会社であることを気にする人は少ないだろう。

ZiemannやBriggsが中国資本傘下であろうとなかろうと
気にする必要はないのかもしれないが、
これだけ中国中心になるのは良いかどうか、、、判断に苦しむところである。

米国や欧州各国は、
中国資本の通信機器(ファーウェイ)を規制できても、
中国資本の醸造機器はもはや規制できない?

ただ、前途洋々たる通信機器と違って、
醸造機器の前途は世界的に需要が見込みにくいので、
今後さらにまた、再編があるかもしれないが。

 

                     text = 喜多常夫

 

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さて、商品紹介です。
今回はビールの缶詰機と壜詰め機です。
クラフトビールの充填機は、きた産業にお任せください。

 

●▲■ ご紹介商品 その1 ROOTSディビジョン ●▲■  
12充填ヘッド+3シーマーの缶ビール充填機「G-TRON」
http://www.kitasangyo.com/pdf/machine/G-Tron.pdf
動画はこちら
https://www.youtube.com/watch?v=Tx-RFUxkrFw

 

●▲■ ご紹介商品 その2  ROOTSディビジョン ●▲■                    
1充填ヘッド+1シーマーの缶ビール充填機「Beer Radix」
http://www.kitasangyo.com/pdf/machine/Beer_RadixIV_J.pdf 
動画はこちら
https://www.youtube.com/watch?v=C8MRvftyt7I

デパレから連結構造にして省力化し、
2充填ヘッドにして能力を倍にした、Beer Radixの新モデルを製作中。

 

●▲■ ご紹介商品 その3 ROOTSディビジョン ●▲■           
3充填ヘッド+1王冠打栓のびんビール充填機「BF HEX」
http://www.kitasangyo.com/pdf/machine/BF_HEX3-1_ed02.pdf
動画はこちら
https://www.youtube.com/watch?v=D68KQFkJ4T0

 

 

 

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