●▲■ きた産業 メルマガ・ニューズ vol.239 ●▲■
発行日:2018年3月20日(火)
■アルコール飲料産業のためのクロスオーバー情報■

  発行:きた産業株式会社 http://www.kitasangyo.com

 

------------------< 目 次 >------------------

●▲■ 2017年の日本のお酒の輸出:4年で2倍以上

  ▲● 「清酒」輸出の分析:ビールやリキュールに比べ伸び率は低い
■▲ 「ビール」輸出の分析:クラフトビール輸出の増加
■● 「ウイスキー」輸出の分析:英国向けは5万円/リッター(!?)

                    text = 喜多常夫

 

ご紹介情報●1▲「お酒スタティスティクス」
ご紹介情報●2▲「ワイン栓・ワインキャップの管理技術」
ご紹介情報●3▲「お酒のキャップ・AZK」

 

 

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すでに2017年の貿易統計実績が発表されています。

今回は数字が多くてちょっと退屈な文章になりますが、
日本の酒類輸出の現状をまとめておきます。

 

 

      ●▲■ 概要 ●▲■ 

日本酒類輸出の総額の5年間の推移はこんな具合。

           2013年:252億円
2014年:296億円
2015年:392億円
2016年:431億円
2017年:546億円

4年間で2倍以上。

財務省貿易統計は、FOB価格(日本で船に積み込んだ状態の価格)。
海外での日本のお酒は、
リテールが少なくレストラン売りが多い実態を考慮すれば、
仕向け国では3~4倍(1,500億円~2,000億円)の
消費を生んでいるはずです。

 

2017年の総額546億円の内訳はこんなな感じ。

●「清酒」                                 187億円、34%
●「ウイスキー」                136億円、25%
●「ビール」                                129億円、23%
■「リキュール」        50億円、9%
■「焼酎」                                 15億円、3%
■「その他の蒸留酒(ブランデー・ラムなど)」
15億円、3%
■「その他の醸造酒(ワインなど)」
14億円、3%
合計                546億円、100%

 

酒類の「クールジャパン」代表は

          ●「清酒」
●「ビール」
●「ウイスキー」

の3選手であることが分かります。

これで全輸出の80%以上。

 

2013年→2017年の伸びは以下の如し:

●「清酒」                                 105→187億円   78%増
●「ウイスキー」         40→136億円   240%増
●「ビール」                                54→129億円     139%増
■「リキュール」         25→50億円     100%増
■「焼酎」                                 17→15億円      ▲10%、減少
■「その他の蒸留酒」                    5→15億円        190%増
■「その他の醸造酒」                    5→14億円        178%増

 

「清酒」が一番大きな金額ですが、伸び率は「2桁」。
「ウイスキー」、「ビール」などの「3桁」に比べると低い。
「ウイスキー」の240%は、勢いありすぎ、ですが。

「リキュール」は100%増とこれも大きな伸び。
8割がたが「梅酒」だと思いますが、「ユズ」なども増加。

「焼酎」は、ほぼ「本格焼酎」です。
▲10%と、残念ながら唯一の減少酒類。
がんばって欲しいところです。

 

 

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     ●▲■ 「清酒」の分析 ●▲■ 

清酒の2017年の輸出は
金額187億円、量2万3,482KL(13.0万石)。

清酒の仕向け先上位は、この数年、

アメリカ
香港
中国
韓国

で、この4カ国で金額の72%、量の67%をしめる。

中国は、2017年の伸びが84%(!)と突出した結果、
韓国を抜いて3位に浮上。

 

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2017年輸出金額上位12カ国の、リッター当たり単価を、
高いものから並べるとこんな具合。

1位 香港                   \1,549/リッター
2位 シンガポール \1,305/リッター
3位 アメリカ                  \1,045/リッター
4位 フランス                  \1,002/リッター
5位 マレーシア                \915/リッター
6位 英国                     \896/リッター
7位 オーストラリア  \891/リッター
8位 中国                     \796/リッター
9位 ベトナム                  \711/リッター
10位 カナダ                    \684/リッター
11位 台湾                    \478/リッター
12位 韓国                    \389/リッター

その他                     \596/リッター
世界平均                 \795/リッター

 

香港、シンガポール、アメリカ、フランスまでがリッター1,000円以上。
高級な日本酒を買ってくれる上得意です。

一方、台湾は478円、韓国は389円と極端に安い。

韓国では、安価な紙パック清酒が多く出回っています。
また、日本清酒と並んで、アメリカから輸入された清酒も
日本製より安い価格でメニューに併載される店も多いのです。

 

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清酒輸出13.0万石の構成は、

■「灘・伏見大手11社」が6.8万石(52%)
■「それ以外の地酒ブランド」が6.3万石(48%)

業界誌で上位ブランドの輸出実績が報道されますので、
そんな情報からの推定です。
なお、「灘・伏見大手11社」は、月桂冠、白鶴、大関、
白鹿、白雪、日本盛、菊正宗、松竹梅、黄桜、沢の鶴、剣菱。

 

地酒ブランドの6.3万石48%というのは、
非常にがんばっているといえるでしょう。

全国の清酒蔵元の過半、700社以上が
2017年に輸出を行ったそうです。

 

 

 

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    ●▲■ 「ビール」の分析 ●▲■ 

 

ビールの2017年の輸出は
金額129億円、量11万7,272KL。

ビールの輸出は他の酒類とまったく異なり、
以下の如く、ほとんどが韓国向けです。

1位:韓国          80.5億円で総輸出額の63%
2位:台湾          14.7億円で総輸出額の12%
3位:アメリカ       8.3億円で総輸出額の6%

韓国では日本大手4社(アサヒ、キリン、サントリー、サッポロ)が
激戦を繰り広げています。

サントリー以外の3社の海外戦略は「現地生産」が基本で、
「日本製の輸出」は輸送費が安い韓国とアジアの一部にほぼ限っているのが、
韓国向けが突出している理由。

 

3社の「現地生産」を完全に把握するのは難しいのですが、

キリン→ドイツ・ロシア・英国・アメリカ・ブラジル・中国
アサヒ→チェコ・英国・ロシア・タイ・カナダ・マレーシア・中国・イタリア
サッポロ→カナダ・ベトナム・アメリカ・オーストラリア

で生産、といった現状だと思います。

日本のビールブランドは実に多くの国々で
「委託生産」または
「海外の自社工場生産」されています。

4社のうちサントリーのみは、
海外委託はせず、日本製にこだわっています。
また5社目の沖縄のオリオンビールも相当量を輸出しています。

 

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2017年輸出金額上位12カ国の、リッター当たり単価を、
高いものから並べるとこんな具合。

1位 フランス                 \252/リッター
2位 英国                    \243/リッター
3位 香港                    \202/リッター
4位 アメリカ                  \175/リッター
5位 中国                    \157/リッター
6位 シンガポール \142/リッター
7位 オーストラリア \127/リッター
8位 ニュージーランド         \123/リッター
9位 カナダ                    \119/リッター
10位 ロシア                   \118/リッター
11位 台湾                   \108/リッター
12位 韓国                   \99/リッター

その他                    \247/リッター
世界平均                \110/リッター

最大輸出国の韓国が、単価が一番安い。
99円/リッターというのは、350ml缶で35円。
11位台湾、12位韓国というのは清酒と同じ構図です。

 

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大手ビールだけでなく、
特にアメリカ、香港などへは、
クラフトビール(地ビール)も相当輸出されています。

統計はないのですが、

総輸出量11.7万KLのうち、3,000KL~4,000KL(3%)程度
総金額129億円のうち、7~9億円(5~7%)程度

がクラフトビールの輸出だと推定します。

輸出単価は、

大手が「リッター100円程度」
クラフトは「リッター300円程度」

でしょう。リッター当たり単価が高い国は、
クラフト輸出の影響があります。

 

クラフトビールの輸出は、ネスト、コエド、エチゴなどが代表格。

清酒は「過半の蔵元が輸出」と書きましたが、
クラフトビールでは、感覚的には、
まだ「1割(30社)程度が輸出」という状況ではないかと思います。

 

世界的クラフトビールブームもあって、
いまや、日本でも世界のクラフトビールが手に入ります。

●20世紀→「旅をしないビール」を求めて
「ビアライゼ」を楽しむ時代
●21世紀→日本・アメリカ・ヨーロッパのクラフトが
先進国のどこでも手に入る時代

クラフトが世界を流通する時代。
日本のクラフトの輸出は、今後楽しみです。

4月から、ビールに新規に許容される副原料
(ユズ、オレンジピール、山椒、しそ、桜、お茶、味噌、鰹節など)
も世界市場で大きな戦力になると期待します。

 

 

 

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    ●▲■ 「ウイスキー」の分析 ●▲■ 

 

ウイスキーの2017年の輸出は
金額136億円、量5,489KL。

 

日本ウイスキーは、
かつて2000年前後は台湾向けがほとんどでしたが、
2010年頃から急激に世界展開がはじまりました。

この数年

金額トップはアメリカ
量のトップはフランス

という構図が続いています。

 

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2017年輸出金額上位12カ国の、リッター当たり単価を、
高いものから並べるとこんな具合。

1位 英国           \5万4,566/リッター
2位 オランダ                  \3,853/リッター
3位 香港                    \3,579/リッター
4位 シンガポール \3,477/リッター
5位 オーストラリア \3,282/リッター
6位 アメリカ                  \3,169/リッター
7位 カナダ                    \2,053/リッター
8位 フランス                  \1,863/リッター
9位 ベトナム                 \1,782/リッター
10位 台湾                   \1,407/リッター
11位 中国                   \1,333/リッター
12位 ロシア                     \663/リッター

その他                    \1,613/リッター
世界平均                \2,485/リッター

 

英国の欄が、5万4,566円(!)となっています。

財務省貿易統計では、英国に、
18.26KL(700ml壜で2万6,000本分)が
9億9,600万円で輸出されたことになっていますので、
そういう計算になります。

(ヨーロッパの)ウイスキー壜は700mlですから、
1本平均4万0,900円(FOB価格)。
英国の店頭では2-3倍になるでしょう。

 

貿易統計は、ときどき後で修正される事もありますが、
たぶんこれは間違えではないと思います。

英国では「軽井沢」など、
いまは日本でお目にかかれない幻の日本ブランドが、
1本30万円、40万円などの値札をつけて並んでいたりします。
サントリーやニッカも高価な限定品を出しています。

 

因みに、
英国の2016年のリッター当たり単価は8,553円、2015年は6,485円と、
高いけれど、まだそうかな、と思える範囲。
2017年は特別な高額商品がまとまって輸出されたのでしょう。

 

なお、英国向けが2万6,000本というはいかにも少なすぎる。
フランスなどを経由して英国に入っているのではないかと考えます。
ブレグジット後は、英国向けは増えるように思います。

 

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5万4,566円/リッターの国・英国の日本ウイスキー事情、
ロンドン、パリ、ニューヨークでみた日本ウイスキー事情、
は、、、次号に続きます。

 

 

                     text = 喜多常夫

(注:今回のメルマガは、「酒うつわ研究」最新号に掲載した
「お酒スタティスティクス」の文章に加筆、再構成したものです。)

 

 

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さて、情報紹介。

 

●▲■ご紹介情報 その1  e-アカデミー ●▲■
「お酒スタティスティクス・2017年の日本酒類の輸出状況」
http://www.kitasangyo.com/pdf/e-academy/osake-statistics/osake_statistics_1802.pdf

 

今回のメルマガのデータをグラフ化したものが、
上記です。

 

 

●▲■ご紹介情報 その2  e-アカデミー ●▲■
「キャップの実務知識・ワインのスクリューキャップ編」
http://www.kitasangyo.com/pdf/e-academy/capping-and-Sealing/closure_p_note_07.pdf

 「キャップの実務知識・ワインのコルク栓編」
http://www.kitasangyo.com/pdf/e-academy/capping-and-Sealing/closure_p_note_05.pdf

 「ワインの錫シーラーの調整」
http://www.kitasangyo.com/pdf/e-academy/capping-and-Sealing/tin_seal_control.pdf

 

ワイン栓、ワインキャップのことなら、
資材から設備までお任せください。

 

●▲■ご紹介情報 その3 e-アカデミー ●▲■
「お酒のキャップ・AZK」
http://www.kitasangyo.com/pdf/package/closures/AZK.pdf

 

ますます採用の増えている「AZK」。
サケびん口(一升壜口)規格の壜に適合する新型キャップ。

2018年から新開封感覚「プチプチ」に移行。
営業担当にご照会ください。

 

 

 

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●▲■バックナンバー閲覧可能!「メルマガ・クロニクル」

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2002年5月の創刊以来のバックナンバーを収録しています。
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2006年4月の以来、きた産業のトピックスを写真で収録。
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