●▲■ きた産業 メルマガ・ニューズ vol.167 ●▲■
     発行日:2012年5月28日(月)
  ■アルコール飲料産業のためのクロスオーバー情報■

発行:きた産業株式会社 http://www.kitasangyo.com

 

------------------< 目 次 >------------------

●▲■ 「数字アピール型のお酒」研究 ●▲■ 

 ●ビールは「30本に1本が0.00%」状態 
  ●ノンアルビールの「0.00」化、ビール以外の「0.00」化
  ●「3」と「8」、数字が生み出す需要

               (text = シーナ K. エミリ)

ご紹介商品●1▲「タンサン・ロボ」:炭酸飲料の試作・生産に
ご紹介商品●2▲クライヤーの「冷却+加熱ユニット」:ワインに
ご紹介資料●3▲ザルキンの「キャッパー」総合カタログ

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チャオ、チャーオ♪
お久しぶり、シーナ・エミリです。

今回は、「数字アピール型のお酒」という
難解?なテーマを研究したのでご報告いたします。

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「コカコーラ・ゼロ」「ワンダ・ゼロマックス」「ボス・ゼロの頂点」、、、

「0(ゼロ)」という数字はアピール力がとてもあります。
商品名によく使われますね。

 

「糖質70%オフ」「カロリー30%オフ」「カロリー1/2」、、、

ゼロに限らず「数字」は直感的。わかりやすい。
健康を気遣う消費者のために「糖質」や「カロリー」の数字を
ラベル正面に大きく表示するのは、
清涼飲料やお酒の、先進国共通のトレンドです。

 

ニッポンで今一番「旬の数字」は「634」(東京スカイツリー)。
しかし、お酒業界で一番の「旬の数字」は、
なんといっても「0.00」。

「0.00%」ノンアルコールビールの登場以来、
いままで大きく書かれることのなかった
「アルコール度」を数字でアピールする商品が増えました。

 

RTD*でも「3」や「8」を大きく表示した商品を
ずいぶん見かけますが、これは、
   「3%」(アルコール度数低め、安心して飲んでね♪)、
   「8%」(アルコール度数強め、効率よく酔ってね?)、
という意味ですね。
   *RTD=Ready To Drink そのまま飲める
   缶チューハイや缶カクテルなどの低アルコール飲料

 

今回のテーマ、「数字アピール型のお酒」は、
「0.00」と「3」と「8」の研究です。

 

 

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●▲■ 数量調査:ビールは「30本に1本が0.00%」状態

 2008年 3.2万KL(1.3万KLという推計も)
  2009年 6.3万KL
  2010年 12.7万KL
  2011年 15.1万KL
  2012年予想 22.2万KL(4社の計画の合計値)

これは日本のノンアルコールビールの推定出荷数量の推移です。

2009年4月にキリンが業界初の「0.00%」、
醗酵工程のない「フリー」を発売。
新市場が創生され、一気に前年の2倍になりました。
(2008年推定値で1.3万KLを採用したら5倍!)

その後3年経過した今年、
2012年のビール大手4社の計画(1月時点での公表計画)
を合計すると22.2万KL。
そこまでは行かなくても、
20万KL程度は間違えなさそう。

日本酒・焼酎業界でおなじみの単位でいうと
20万KLは約110万石。大きい!ですね。

ビール類(ビール+発泡酒+第三のビール)の市場サイズが
580万KLくらいなので、
いわば、ビールは「30本に1本が0.00%」状態!!

確かに周りでも随分飲む人がふえてます。
(居酒屋で0.00%ビールのハシゴ酒?
をしてる女子会を見ます。)

「第三のビール」に次ぐ、
「第四のビール」になってしまいそうデスね?!

 

 

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●▲■ 歴史調査:ノンアルビールの「0.00」化の系譜

■戦後すぐに発売された「ホッピー」は
本来ノンアルコールビールだったのだそうです。
しかし戦後の窮乏生活の中、ビールの代用として
「ホッピー+焼酎」の飲み方が定着したそうです。
1986年発売の宝酒造の「バービカン」も随分ブームとなりました。
(Wikipediaなどによる)

■2003年は、前年の道交法改正(飲酒運転罰則強化)で
ノンアルコールビール需要が、いったん大きく盛り上がりました。
キリン「モルトスカッシュ」、サントリー「ファインブリュー」、
宝「バービカン」、ドイツの「レーベンブロイ(アルコールフリー)」
などが人気でした。

■これらは全て醗酵工程があるので、
アルコールが0.1〜0.5%含まれていました。
この時点のノンアルコールビールの製造技術は下記参照。

 http://www.kitasangyo.com/e-Academy/b_tips/back_number/BT_06.pdf
  (2003年の「酒うつわ研究」掲載の「Brewer’s Tips」)

基本は「アルコール除去法」と「醗酵抑制法」。
「醗酵工程なし」という、
驚き!の「第三の手法」は、まだありませんでした。 

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■今を去ること3年前、
2009年4月にキリンがビール業界初の0.00%、
醗酵工程を経ない「フリー」を発売。一気に市場拡大。

それまではノンアルコールとは言え
0.1〜0.5%程度のアルコールを含んでいたので、
妊婦さんや運転手さんには抵抗があったのだと思います。
その抵抗感が完全に解消されました。

単に「0(ゼロ)」ではなく、
「0.00」というネーミングも大きな勝因ですね。
(もしも0.00という数字の表現がなかったら、
こんなにマーケットが拡大しなかったのでは?)

■キリンの発売のわずか半年後の9月には、
大手の残りの3社(アサヒ、サッポロ、サントリー)が、
同じ「0.00%」の名前でノンアルコールを発売して4社体制に。
しかし、2009年、2010年とキリンの一人勝ち。

■2010年8月、サントリー「オールフリー」登場。
その結果、2011年は、
サントリーが首位を奪取、キリンが2位に。
サッポロの「プレミアム・アルコールフリー」も健闘して3位。
4位のアサヒのシェアはかなり少なかったようです。

■今年、2012年はそのアサヒが満を持して、
「ドライ・ゼロ」(麦芽は使わない!大豆ペプチドを使用)を発売、
シェアを大幅に増やす計画。実際、相当な勢いのようです。
1月時点の4社の計画数量を合計すると22.2万KL。
その後、計画を上方修正した会社もあります。

■日本の成功を踏まえ、
キリンは、アメリカで2011年から「フリー」を試験販売。
2012年4月から本格販売を開始したそうです。

アメリカのビール市場は、日本と同じくすでに縮小フェーズ。
  (日本は2000年から縮小しはじめて13年目。
   アメリカは2009年から縮小しはじめて4年目。)
縮小市場には、直球勝負より変化球?、なのでしょうか。
日本では「発泡酒」や「第三」という変化球がでましたが、
アメリカでも「紅茶味ビール」「シトラス味ビール」などの
変化球が人気だそうで、ちょっと似た市場環境ですね。

ミラーやバドなどアメリカの大手ブランドでは、
ずいぶん以前から「ライト」(低アルコール)が主流。
ライトの上を行く「フリー」のコンセプトは、
アメリカ市場でも成功しそうに思います。

 

 

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●▲■ 他の酒類調査:ビール以外の「0.00」化も進行中

●「0.00%RTDカクテル」や「0.00%梅酒」:
0.00%ビールの成功に刺激を受けて、2010年以降、続々登場。
共通点は「0.00%」と表示していること。
毎日のようにTVコマーシャルを見ますね!

もしも0.00と書いていなければ、、、
ある意味、「フルーツジュース」や「梅ジュース」に近い?
ものではないかと思うのですが、
「広告パワー」はすごい。
それとも「潜在需要が目覚めた」というべきなのでしょうか?

ビール以外のノンアルコールRTDの市場規模は、
2011年で2万KL程度(=約11万石)だそうです。

●「ノンアルコール・シャンパン」:
戦後、進駐軍で飲まれていたシャンパンをヒントに、
東京の業者が「ソフトシャンパン」を開発。
当初はキャバレーなどに出荷される高級品でしたが、
その後多くの業者が参入して大衆化、爆発的人気となったそうです。

現在は、全国清涼飲料協同組合が持つ「シャンメリー」の商標で、
子供需要中心に販売されています。(Wikipediaなどによる)
辛口にして「0.00%」と書けば、オトナ需要もあるかも、ですね。

●「ノンアルコール清酒」:
金沢の福光屋が2002年に「のんある代吟醸・宴会気分」を発売。
大関が2003年に「異酒屋NONだつもり」を発売。
(アルコール表示はそれぞれ0.5%未満と0.1%未満)
これらはその後、発売中止となり、
現時点ではノンアルコール清酒は販売されていないと思います。

でもこのブームですから、
オンザロック用とか、お燗用とか、
新製品が出るのではないでしょうか。
技術的に難しそうですが、その時はやはり「0.00%」?

●「0.00%焼酎」:
ノンアルコールは普通、醸造酒ジャンル。
しかし、鹿児島の小正醸造が2011年4月に発売した
「小鶴ゼロ」はノンアルコール焼酎(蒸留酒ジャンル!)です。
芋焼酎と似た製造工程だけれど、
醗酵させずに蒸留するそうで、「0.00%」です。
ノンアルコール・ウイスキーだってできるのかも?

 

 

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●▲■RTDの調査:「3」と「8」、数字が生み出す需要

▲ビール系飲料が減少する一方でRTDは年々増えています。
2011年のマーケットサイズは約70万KLだそうです。

種類が多い(多すぎる?)せいもあるのでしょう、
ビール類(約580万KL)に比較して
RTDの売り場面積は、
マーケットサイズ以上に広い!ですね。

その売り場でRTDの缶詰をよーく眺めると、
「3%」(低アルコール)、「8%」(高アルコール)など、
アルコール度数を大きく表示した商品がずいぶん増えています。

RTDは標準的には5%程度。
それでは物足りない(=酔いたい)人のために、
8%の商品は以前からありました。
ところが、逆に酔いすぎないことを希望する需要層が顕在化、
2009年頃から3%が急速に増えた、いうのが経過です。 

▲サントリーさんが公表している調査*によれば、
2011年の市場サイズはこのくらい。
   3%以下の低アルコールが14.8万KL
   8%以上の高アルコールが15.1万KL
どちらも増加基調だそうです。
     *「サントリーRTDレポート2012」

両社はほぼ同じマーケットサイズですが、
仮に「0.00%RTD」(2万KL程度)を低アルコールに分類すれば、
低アルコールの方が市場が大きい、ということになりますね。

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「3」や「8」、それに「0.00」という「数字」が、
新しい需要を生み出したように感じました。

ノンアルコールビールの需要は、
アルコールを飲まない人よりむしろ、
普段アルコールを飲む人の需要が大きいのだそうです。

「低アルコール需要が確実に増えている」
だけでなく、
「飲む人も量を減らそうと努めている」
のですね。

日本だけでなく、
先進国共通の潮流だと思います。

(詳細な調査内容は、
最近発行した「酒うつわ研究 12 V」を見てください。)

             (text: Sienna K. Emiri)

 

 

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さて、きた産業の商品のご紹介です。

●▲■ ご紹介商品 その1:ROOTSディビジョン ●▲■

「TAN3 ROBO(タンサン・ロボ)」:炭酸飲料の試作・小規模生産に
100〜150リットル版
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/gas/TAN3ROBO_150_100_WOP.pdf
50〜30リットル版
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/gas/TAN3ROBO_50_30.pdf

冷却機能を搭載。0.4〜0.5MPaの高耐圧。
セラミックスのストーンでやさしいカーボネーションを行います。
特に、スパークリング酒類の試作・小規模生産に好適。

自動的にカーボネーションの圧力を制御する、
アメリカZ&N製の「コントロールバルブ」もどうぞ。
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/gas/ZN_carb_controlvalve.pdf

 

●▲■ ご紹介商品 その2:KKディビジョン ●▲■
ドイツ・クライヤーの「冷却+加熱ユニット」:ワインの温度管理に
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/brewing/kreyer.pdf

冷却だけでなく加熱も可能。
ワインや酒類の温度管理専用の設計。
ドイツ製ですが価格もリーズナブル。

 

●▲■ ご紹介商品 その3:K2ディビジョン ●▲■
ザルキンの「キャッパー」総合カタログ(6 pages)
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/machine/zalkin_catalog.pdf

フランスのザルキン社は世界トップクラスのキャッパーメーカー。
日本でも酒類メーカーのほか、
大手清涼飲料、化学製品、ホームプロダクツなど、
100社以上の企業で稼働してています。

 

 

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http://www.kitasangyo.com/Archive/mlmg/BN_top.html

2002年5月の創刊以来のバックナンバーを収録しています。
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http://blog.goo.ne.jp/kita-slow_blog/

2006年4月の以来、きた産業のトピックスを写真で収録。
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