●▲■ きた産業 メルマガ・ニューズ vol.149 ●▲■
     発行日:2011年 1月15日(土)
  ■アルコール飲料産業のためのクロスオーバー情報■

発行:きた産業株式会社 http://www.kitasangyo.com

 

------------------< 目 次 >------------------

  欧州ワイン醸造設備・見聞録、その1
         モンタルチーノの「バンフィ」

●▲■ <ワインツーリズム世界一>
●▲■ <世界でここだけ?!>x2+<注目!>x3

               (text = 喜多常夫)

ご紹介情報●1▲「酒王冠博物館」に、「メンタム」と「醤油」追加
ご紹介情報●2▲「フランスワインの5本に1本はノマコルク」
ご紹介情報●3▲「穿孔式のデジタル圧力・減圧計」

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昨年末、
イタリアのトスカーナと、フランスのボルドーに出張したのに合わせて、
いくつかワイナリーを見てきました。
ワイン銘醸地から最新のワイン設備事情をご紹介します。

 

 

  ●▲■ <ワインツーリズム世界一>

「トスカーナでアイドル日が1日とれるんだけど、
ワイン醸造設備で参考になるところはないかな?」
とイタリアのワイン機械取引先に尋ねたところ、
「遠いけど、モンタルチーノのバンフィ」、と奨められました。

モンタルチーノは、キアンティ、モンテプルチアーノと並ぶ、
「トスカーナDOCG」御三家の一つ。
(DOCG=イタリアワインの統制保証原産地呼称)

地図で見ると鉄道でバンフィに行くのはちょっと難しそう。
フィレンツェから車で向かう。
2時間くらい南に走るとモンタルチーノ、という丘の上の小さな町に着く。

そこからさらに10分ほどのところに、目的地の
「カステッロ・バンフィ(Castello Banfi、カステッロはお城)」
があります。

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事前の調査不足で、現地に行ってから知って驚いたことがあります。

 1)バンフィには、なんと日本人社員がいること
   (宮島さん。お会いできて大変よかった)

 2)アメリカの有名雑誌フォーブス誌で、
   2009年に「ワインツーリズム世界一(!)」に選ばれたこと

 

「ワインツーリズム」は業界注目のビジネス・モデルだし、
日本の清酒や焼酎だって今後取り組むべきテーマ。

因みにフォーブス誌の選んだ、
「世界のワインツーリズムトップ10」は以下のごとし。

 1. Castello Banfi (トスカーナ、伊)
  2. Montes (コルチャグア・バレー、チリ)
  3. Ken Forrester (ステレンボッシュ、南アフリカ)
  4. Fournier (メンドーサ、アルゼンチン)
  5. Leeuwin Estate (マーガレットリバー、オーストラリア)
  6. Felton Road (セントラル・オタゴ、ニュージーランド)
  7. Bodegas Ysios (リオハ、スペイン)
  8. Quinta do Portal (ドォーロ、ポルトガル)
  9. Ch?teau Lynch-Bages (ボルドー、仏)
  10.Peter Jakob Kuhn Oestrich (モーゼル、独)

 

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地ビールビジネスの成否は
「ロケーション、ロケーション、ロケーション」
とはよく言われましたが、
ワインツーリズムの決め手はロケーションより
「食事+宿泊設備」が決め手。

 

醸造所見学の後で、
少し離れた丘の上にある「カステッロ・バンフィ」
(本当の中世のお城。ブティック、レストランやホテル、
ガラス壜コレクション博物館がある)も案内してもらいましたが、
ワインツーリズム世界一もむべなるかな。

レストランでいただいた昼食
(デギュスタツィオーネ4皿のメニュと、
皿毎に合わせたバンフィ・ワイン4種で65ユーロ也)は
素晴らしく印象的でしたし、
ちらりと見せてもらったホテルの部屋(中世の建物を改築)と、
その窓からの眺望もすばらしかった。

アクセスが良いとはとても言えない
(主要都市も空港も、全くもって遠い)ロケーションですが、
「ワインツーリズム世界一」を体感しました。

 

日本酒・焼酎ツーリズムも、宿泊設備にもっと力を入れれば、
海外の顧客も呼び込めるのではないかとも思いました。

(ツーリズムとはいえないけれど、
かつて、枕崎の薩摩酒造さんで宿泊させてもらった体験
−明け方4時ころ麹の手入れを体験させてもらった−
は忘れがたい個人的体験。)

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「イベント」もワインツーリズムの要です。

ツーリズムラインキング9位の、
ボルドーのランシュバージュは、その隣に「バーシュ村」
(ブティック、レストラン、パン屋などがある)を設けていますが、
「神の雫」(ワイン・マンガ、フランスでも人気)の原作者に
「ボンタン騎士団」名誉号を授けるイベントはそのバージュ村で行われました。

(シャトー・ランシュバージュのオーナーは「神の雫」の愛読者?)
http://blog.goo.ne.jp/kita-slow_blog/m/200812 

 

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さて、本論の醸造設備のお話。

(以下の話は、ブログ「欧州ワイン醸造設備・見聞録 その1」 
     http://www.kitasangyo.com/topics.html  
     から「スローなブログ」をクリック!
  で写真を見ていただけます。2011年1月12日分です。)

 

  ●▲■ <世界でここだけ?!@>
      「木とステンレスの混成タンク」

醸造所でまず驚かされたのは、
オリジナルで作らせたという
「木(オーク)とステンレスの混成(!)タンク」。

ずらりと2列に並んでいます。
こんな変わり種タンクは世界でここだけではないか。

「両者のいいところを活かした」とのことで、
中間部分がオークバット(オーク製のタンクのこと)、
上下が温度調整機能付きステンレス・ジャケット・タンク。

オークバット内に蛇管を通したり、
ステンタンク内にオーク板を沈めるよりは良いと思うけれど、
本当に作ってしまうか?!と驚きました。

清酒では「木桶仕込み」、焼酎では「甕仕込み」を
アピールするところが増えているけれど、
ワインは先を行っているなあ、、、とも。

 

  ●▲■ <注目!@>
      「重力式は前提条件」

ずらりと並ぶ「オーク&ステンレス・タンク」
は床に設置されているように見えるが、
実はその下には「もう1個のステンレス・タンク」があって、

(すなわち、「ステンレス・タンク」の上に
「オーク&ステンレス・タンク」が乗っている2階建て)、

醗酵が終わったワインはポンプを使わず
「重力式(gravity)」で下のタンクに移す。

いまや、
「重力式は、新規ワイナリー設計の前提条件」
であるのを再確認。

 

  ●▲■ <注目!A>
      「DIEMME(ディエメ)」の信頼度の高さ

そして、その下部のタンクの間にレールが設置してあって、
「DIEMME(ディエメ)」のメンブランプレスが
列車のように移動できるよう設置されています。

バンフィのプレスはこのほか、
DIMMEが4〜5台、ブーハーが1台という比率。
DIEMMEの信頼度の高さを物語ります。

アメリカ、ナパの「レイモンド・ヴィンヤード」
(2009年までキリンがオーナーだった)でも、
「DIMME数台、ブーハー1台」という比率だったのを思い出します。

CMになりますが、当社が日本代理店をしているDIEMMEは、
ブーハー・ヴァスランに次ぎメンブランプレスで世界2位のシェア。
イタリア、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドなど、
いくつかの主要ワイン生産国ではトップシェアです。

 

  ●▲■ <世界でここだけ?!A>
      「自動選果3機種一気導入」

世界でここだけ?!、と驚いたのは
「オーク&ステンレス・タンク」ばかりではありません。

もっと驚いたのは、「自動選果システム」主要3機種を
2010年に一気に導入(!)して使っていたこと。

どれも高価だし、
短い収穫期間に同時に3つを使いこなす人材と人数も必要。

「3機種一気導入!」、
なんてことをしている(できる)ワイナリーは、
世界でここだけではないか?

中国の燕京ビールで、
クロネスとKHS(両社は世界トップメーカー)の
壜詰めラインを両方隣合わせに設置して、
稼働率を競争させていた(華僑的発想?)のを
チラと思いだしたけれど、
バンフィでは純粋にどれがいいのか比較検討している風。

(注:「選果について」 
「房(バンチ)の状態」と「粒(ベリー)の状態」で、
コンベア上で不良果を選別・排除する「選果」は、
21世紀にはいってこの10年ほどで
世界のクオリティー・ワイナリーの必須作業となった。
芋焼酎で、仕込み前の芋の傷んだ部分を
手作業でカットするのと同じ意味合いで、
当然と言えば当然なのだけれど、
ワインでは20世紀末まではほとんど行われていなかった。
ブドウ選果は目視とマンパワーで行うのが主流。
ただ、3年ほど前に「粒の自動選果装置」が開発され、
この2年ほどで、資本力のある欧州のワイナリーでは
急速に導入が進みつつある。
なお日本のワイナリーではまだ自動選果機の導入実績はない。)

 

  ●▲■ <注目!B>
      「ペレンクがいい」
3機種の内訳は、
  「ペレンク(Pellenc)」(画像処理・選果システム)
  「ブーハー・ヴァスラン」(画像処理・選果システム)
  「アモス」(液に浮かせて比重で区分する選果システム)

で、3機種のどれが一番いいのか?

案内してくれたコンサルタント氏とワインメーカー氏によれば、
「ペレンクがいい」とのこと。

ペレンクというメーカーは本邦ではあまり知られていないと思いますが、
ヴィンヤード器具大手だし
(ペレンクの果樹用カッターは正規輸入されている)、
その選果システムはなかなか優れているように見えました。

 

バンフィでは、
タンクと自動選果以外にも興味深い設備がいくつかありました。
いままでイタリアで見たワイナリーでは、
フランチャコルタの「カデルボスコ」の設備が飛びぬけて凄かったけれど、
バンフィはカデルボスコに勝るとも劣らない。

高級ワインの品質もさることながら、
普通価格帯のものの品質がとても高いことに感銘を受けました。
ワイン設備がワイン品質に果たしている役割は極めて大きいと思います。

バンフィが北部イタリアのピエモンテに所有する
「Vigne Regali」ワイナリーにも数年前に行ったことがあるのですが、
ワイン壜詰め前に液体窒素滴下機を設置していた
(充填時の酸化防止のため。ヨーロッパでは稀)ことを思い出します。

ワイン品質のためにできる設備は万全を尽くす、という、
オーナー(アメリカのマリアーニ家)とバンフィ・チームの、
ロゴスとパトスを感じました。

(次号に続く)
                  (text = 喜多常夫)

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ブログでは、本文で触れなかった
<これは何?>x2の写真も掲載しています。

 

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さて、参考情報の紹介です。

●▲■ ご紹介情報 その1 ●▲■

「酒王冠博物館」に、「メンタム」と「醤油」追加

1930年代〜1980年代の、
お酒の王冠の銅板を集めた「酒王冠ミュージアム」に、この度、

「メンタム」
http://www.kitasangyo.com/museo/medicines.html

「醤油」
http://www.kitasangyo.com/museo/soy_sauce.html

がオープンしました。

 

ご紹介情報●2▲「フランスワインの5本に1本はノマコルク」
ご紹介情報●3▲「穿孔式のデジタル圧力・減圧計」

 

 

 

●▲■ ご紹介情報 その2:K2ディビジョン ●▲■

「フランスワインの5本に1本はノマコルク」
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/closure/Nomacorc2010.pdf

 

フランスワインの5本に1本
アメリカワインの3本に1本
が、合成コルク「ノマコルク」。

一方、スクリューキャップワインも増えていますが、
インターナショナルワインチャレンジの欠点評価を見ると
「酸化」より「還元臭」の比率が高い。

、、、といった情報を含む資料です。

 

●▲■ ご紹介情報 その3:ROOTSディビジョン ●▲■

「穿孔式のデジタル圧力・減圧計」
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/gas/ZN_digital_pg_WOP.pdf

 

アナログゲージと違って、ピークホールドが可能。
測定が楽に、確実になります。

ザーム・ナーゲルのフレームに後付けも可能。

 

 

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