●▲■ きた産業 メルマガ・ニューズ vol.120 ●▲■
      発行日:2008年10月28日(火)
■お酒・アルコール飲料産業のためのクロスオーバー情報■
発行:きた産業株式会社 http://www.kitasangyo.com


   ------------------< 目 次 >------------------

      ●▲■ お酒書籍の紹介 ●▲■

●その1 ウィスキー「もし僕らのことばがウィスキーであったなら」
●その2 ワイン 「里山ビジネス」
●その3 焼酎・泡盛「至福の本格焼酎 極楽の泡盛」
●その4 ビール 「麦酒アンタッチャブル」

「酒は、それがどんな酒でも、産地で飲むのがいちばんうまい」
「拡大は工業的意志、持続は農業的感覚。拡大しないで持続する」

                      (text = 喜多常夫)

ご紹介アイテム●1▲ CM1「お酒の、キャップは、きた産業」
ご紹介アイテム●2▲ CM2「お酒のパッケージならお任せ下さい」
ご紹介アイテム●3▲ CM3「醸造!ガス技術!充填!ラボ!」

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●その1「もし僕らのことばがウィスキーであったなら」
         村上春樹(新潮文庫、2002年11月発行)

日本人と日本出身者のノーベル賞が4つでた快挙と同時に、
「村上春樹さんは選に漏れた」と伝えるニュースがありました。
この数年、村上さんは、受賞するのでは、と言われ続けているそうです。

村上春樹のこの本は、
1999年に初版が刊行されたものの文庫版で、
旧著に属するけれど、最近読んで印象的だったので紹介します。

シングルモルトを飲むために
イギリスの「アイラ島」と「アイルランド」を旅したエッセイ。

ページの半分は写真で、奥さんの村上陽子さんの撮影。

 ボウモア蒸留所でピートを焚く火、
  海に対峙して建つラフロイグ蒸留所、
  街角のネコ、海岸のカモメ、荒涼たる原野の羊、
  パブのバーテンダーやなじみのオヤジ、、、

日常風景。だがどれも美しい。
写真家の才能を感じます。

 

残り半分が村上春樹の文章。

 「フェラーリのオーナーがその癖のある6速ギアの話をするように」
  「ヘミングウェイの初期の作品にみられるような切れ込みのある文体」
  (ウィスキーの味を表現して)

 「ユリシーズ的に奥が深い。比喩的に、寓話的に、フラグメンタルに」
  (アイルランドのパブを称して)

 「イングリッドバークマンの微笑みのようにそっとクリーミー」
  (スタウトビールの味)

ところどころに、こんな「村上春樹表現」が潜んでいますが、
全体としては旅先の体験を平易な言葉で綴ったウィスキー讃歌。
1時間もかからずに読み終えてしまえます。

 

「経験的に言って、酒というのは、それがどんな酒であっても、
その産地で飲むのがいちばんうまい気がする。
(ウィスキーのほか)ワインも日本酒も。ビールだってそうだ。
離れれば離れるほど、
その酒を成立せしめている何かがちょっとずつ薄らいでいく」

あとがきにそう書かれていますが、
私はまったく共感する輩であります。
(沖縄の泡盛体験、ナパのワイン体験などを通して)

 

いつかアイラ島に行ってウィスキーを飲んでみたい、
それが叶わなくても、ウィスキーを見直したくなる、
そんな一冊です。

 

 

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●その2 「里山ビジネス」
        玉村豊男(集英社新書、2008年6月発行)

バスも通わない、周りには店舗も住宅もない里山で、
著者が2004年に立ち上げたワイナリーとレストランが、
なぜ故、ビジネスとして成功したかについて書いた本。

著者の「ヴィラデスト・ワイナリー」へは、
取引があるので何度か訪問しています。

所在地は長野県東御(とうみ)市。
市といえば聞こえがいいのですが、
市町村合併の産物で、古いカーナビだと山の中を示す場所。

仕事では訪問していてもレストランで食べたことがなかった。
そこで、今年の春先(この本の出版直前)、
プライベートの長野旅行で昼食を食べにいこうと計画しました。

開業後5年もたてば落ち着いているだろうし、
平日昼間だから予約なしでいいだろうと思いましたが、
念のために照会すると「ぜひ予約を勧めます」とのこと。

当日、ついてびっくり。
満席でした。予約してよかった!

新鮮な食材、
シンプルだが工夫を凝らした料理、
テラス席からはるかに望む千曲川や信州の山々のすがしい風景に、
満たされたひと時を過ごさせてもらいました。
(車なので、ワインを飲めないことだけが残念でしたが)

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 「第一次産業の生産地は、そこに人さえ来てくれれば
  魅力的な観光地に変身します。
  そうすれば鮮度も落ちず、輸送費もかからず、
  中間マージンも取られず、包装代も節約できる」

 「単一品種の大量生産というのは、植民地の農業。
  プランテーションは全滅したらそのまま放置すればよかった」
  「日本の農業は自らを植民地化するような政策を採用してきた。
  いまだに大面積の集約を目標にしている」

 「拡大は工業的な意志、持続は農業的な感覚」
  「工業社会の論理では、持続するために拡大しなければならなくなる。
  里山ビジネスでは、できるだけ拡大しないで持続することが大切」

 

う〜ん、
何でもグローバル化する現代社会へのアンチテーゼだなあ、
と思って読み進んでいたら、
最終章のタイトルは「グローバル化は怖くない」でした。

著者は、
金融問題で混乱する今のグローバル経済を予見したわけではないでしょうが、
図らずも時流を得た、価値ある視点だと思います。

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 「(ブドウは40歳50歳になって奥深い味のワインになる)
  最初に植えたヴィラデストのブドウは今年でようやく17歳。
  彼らが人生最後の一滴を搾り出すころには私は干涸びている」

 「(その時に引き継いだ人たちが)
  弱ったブドウを引き抜いて新しい苗木を植えるのです。
  また次の50年を用意するために・・・」

 「ブドウと人間は微妙なズレを見せながら世代交代を繰り返します。
  ブドウが変わるとき人が残り、人が変わるときブドウが残る。」

 

ワインづくりを通して見た人生観にも、共感を感じました。

巻頭言には、ラテン語で次のように書いてあります。

LAUDATO INGENTIA RURA EXIGUUM CONLITO
(広大なる田野を讃えよ されど狭き田野を耕せよ)
          ―古代ローマの詩人、ヴェルギリウス

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なお、本書の60ページには、
  「新規ワイナリー開設に必要な醸造設備一覧、
                   総額45,350,000円」
というリストがでてくるのですが、
これには
  「2008年3月現在、きた産業株式会社」(!)
というキャプションがついています!

 

 

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●その3「至福の本格焼酎、極楽の泡盛」
          山同敦子(ちくま文庫、2008年9月発行)

7年前の2001年に取材、2002年に初版なった著作の文庫版。
ただし、直近の2008年情報を併記してアップデートされています。

蔵元それぞれの7年前と今の対比が面白い。

 7年前は約400石、今は500石(高良酒造)
  7年前は約900石、今は1,300石(村尾酒造)
  7年前は約3,000石、今は3万5,000石(西酒造)
  7年前はヤマハV-Max、今はハーレーディビッドソン(佐藤酒造)
  7年前は信号は一つもなかった、今は一つ(朝日酒造の喜界島の話)

 

「蔵」や「焼酎」そのもののより、
作り手の「人」にスポットをあてた本。
生い立ち、蔵を継いだ事情、焼酎造りに対する考え方を読むにつけ、
「焼酎は人なのだなあ」という思いを抱きました。

 

一方、技術的に突っ込んだ取材も興味深いところ。
たとえば、、、

 「2008年から二次仕込みは(甕から)すべて木桶に変えた。
  作業は大変だが安全でナチュラル。
  弊社の方向にあっている」(黒木本店)

 「2008年は(ワインの)ヴィオディナミにならって
  自営田の田植えと稲刈りは満月の前の日に、
  1次仕込みは新月にはじめる計画」(豊永酒造)

 「焼酎は階上に設置したタンクに溜めて
  瓶詰めにポンプを使わない。
  圧力を加えたら丸くなった味が台無し」(佐藤酒造)

 「油分は強い攪拌や冷却で無理に取り除かない。
  数カ月して浮た油分をそっと取り除く」(宮里醸造所)

最後の宮里醸造所は文庫版にあたって追加されたところで、
「カリー・春雨」の蔵元。
「シャンパーニュにも同様の香りが出ることもあるが、
長く余韻として残るのは春雨以外の酒で体験したことがない」
とその香りを絶賛。
まだ未体験なので是非飲んでみたいと思いました。

(事情通でない人には「カレー味のカップはるさめ?」
と誤解されそうな名前ですが、通人に人気の泡盛。
「カリー」とは沖縄でおめでたいを意味する「嘉例」。
なお、実は本当にカレーライスとも合う!!そうです)

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人々の、生き生きした表情の写真もよい。

蔵元の人達ばかりでなく、
  「河内源一郎商店(焼酎麹の供給元)」の社長、
  「コセド酒店(鹿児島の酒販店)」の主、
  「焼酎天国(鹿児島・天文館の焼酎専門店)」の女将、
  「味ノマチダヤ(東京の大手酒販店)」の社長、
などの写真や紹介記事も、個人的には興味深いところでした。

飲み屋のカウンターの片隅でこの本を眺めながら、
取り上げられた銘柄の焼酎・泡盛を、
一人ゆっくり飲んでみたい、
そんな気持ちのにさせる一冊でした。

 

余談ながら、
私が著者の山同さんと初めてお会いしたのは、
前掲の玉村豊男さんのご自宅のダイニングルームでした。
スモールワールド(世間は狭い)、ですね。

 

 

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●その4「麦酒アンタッチャブル」
         山之口洋(祥伝社、2008年9月発行)

 

財務省酒税課の官僚と、酒税課に出向した警察官のコンビが、
自家醸造ビールの脱税行為を追い詰める、
一方、自家醸造愛好家たちは意外な反撃をする、という小説。

禁酒法時代のアンタッチャブルとアルカポネを下敷きにした
面白いストーリー展開もさることながら、
酒税法や国税局をよくぞ調べたと感心すること請け合い。

 「コップ5杯なら3杯は税金。
           ビールは水で薄めた税金だ」
というあたりはちょっと調べれば書けるかもしれないけれど、
自家醸造ビールが合法になる方法(!)、という意外な結末は、
酒税法を知悉しないとでてこない設定。

酒税が地方税化(!)され、
財務省酒税課や国税局酒税課が廃止(!!)される話も楽しい。

地ビール、大手ビール、
それに自家醸造ビール愛好家の皆さんにもお勧めしたい、
楽しめる一冊です。

 

                   (text = 喜多常夫)

 

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さて、今回は、
来年から醸造協会雑誌に掲載予定の当社の広告を、
先取りしてご紹介します!

●▲■ ご紹介アイテムその1:KKディビジョン ●▲■
CM1「お酒の、キャップは、きた産業」
http://www.kitasangyo.com/Archive/CM_Library/CM2_KK.pdf

*下のほうに、50年ほど前のお酒の王冠が映っています!

 

●▲■ ご紹介アイテムその2:K2ディビジョン ●▲■
CM2「お酒のパッケージならお任せ下さい」
http://www.kitasangyo.com/Archive/CM_Library/CM2_K2.pdf

 

●▲■ ご紹介アイテムその3:ROOTSディビジョン ●▲■
CM3「醸造!ガス技術!充填!ラボ!」
http://www.kitasangyo.com/Archive/CM_Library/CM2_ROOTS.pdf

 

きた産業株式会社は
●「KK」ディビジョン(キャップなどの製造部門)、
▲「K2」ディビジョン(びんや缶などのパッケージ)、
■「ROOTS」ディビジョン(機械・エンジニアリング)
の3つの部門のシナジー効果で、
一層お役にたつ企業を目指しています。

 

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